無窮の空。無窮の大地。この世の全てを擁した大陸。

 その中心に、豊穣と祝福のエルフの国――マーラディアンはあった。

 夢と慈しみ、愛と喜びに満ち溢れた希望の地。

 だがたった一人の反逆者により、マーラディアンは一夜にして崩壊に導かれた。

 命からがら逃げ延びたマーラディアン第二王女・アルティーシアは、
人間界で一人の少女と出会う。

 春風(はるかぜ)さくら。

 それは逃れ得ない宿命であったのか。

 アルティーシアは自らの魂を彼女に託し、マーラディアンからの 追っ手と
戦うことになってしまった。

 無垢なる少女の魂はアルティーシアと共鳴し、
その体に鎧をまとって異形の者どもに立ち向かっていく――

〇廃校舎

さくらたちが園芸部の部室として
使っている旧校舎。
様々な人々の想いが詰まっているのであろう。
その古さも含め歴史的な遺産ではあるのだが、
随分とくたびれてしまっている。
学園の片隅の皆に忘れ去られたような場所にひっそりとある。
普段からほとんど人が来ることもなく、
新校舎からの声も届くこともなく非常に静か。
裏手には山道に入っていくけもの道がうっすらとある。

〇園芸部部室

園芸部部室として勝手に改造、改修した。
園芸に関するものだけではなく、
趣味の本や、ゲーム、お茶セット果ては寝具まで、
様々なものが部員により持ち込まれていて、非常に快適。
いざとなれば、しばらくの間立てこもることも
出来そうな雰囲気がある。
さくらたちの憩いの場となっている。
誰が引いてきたのだろうか、
夜には電気が付き、水も引いてきている。
トイレだけは……残念なまま。

〇マーラディアン遠景

エルフの国家であるマーラディアンの遠景。
森の中だけで暮らしていた昔とは違い、
高度なの魔法土木技術を取り入れ、国を築いた。
エルフとしては落ち着くのであろう、
森や水などといった自然とうまく調和し、
自然にあふれた非常に美しい国である。
街中では、普通に宿屋、酒場、その他武具道具店など
といった一通りの店がそろっていて、
行商、旅人など一般の人に対しても非常に開けている。
また、国家として武力・戦闘力も高く、
特に魔法戦術に関しては比肩するものはないとして恐れられている。

〇マーラディアン王の間

あふれる知性を感じる、美しい王の間。
テラスからはマーラディアンを一望できる。
つるつるに磨かれた床には、パンツまでうつりそうだ。
王座の両隣にある白の樹(ファニュイアーヤ)は、
魔を遠ざけるとされ非常に希少なもの。
夜にはやんわりとした光を放つ、非常に美しい樹である。